サクッと分かる、絵画技法一覧

一口に絵画と言っても様々な種類があります。ここではなるべく簡単に、サクッとご紹介いたします。

日本画は、一般に紙や絹、木、漆喰などに、墨、鉱石などを砕いて粉にした岩絵具、貝殻を砕いて粉にした胡粉、染料などの天然絵具を用い、膠（にかわ）を接着材として描く、千数百年以来続いている絵画様式です。

一般的に油絵とよばれる絵画様式です。鉱物、石油、空気などから製造される顔料を植物油で練った絵具です。 この油が空気に触れて酸化することで絵具が固まります。豊富な色彩と重厚感をだす厚塗り・重ね塗りなどの手法でバリエーション豊かに表現出来ます。

石油化学の発達によって生産することが可能になったアクリル樹脂を固着材に用いた絵具で描かれた絵画です。アクリル絵具のほとんどは水溶性で乾燥が早く、乾燥後に耐水性となる性質があります。

水を溶剤とする絵具を使用して描かれた絵画です。透明水彩絵具（ウォーターカラー）と不透明水彩絵具（グアッシュ）とに分類され、水彩画は透明水彩絵具で描かれたもののみを指すことがほとんどです。歴史は古く、旧石器時代まで溯ると言われています。18世紀に特に英国で広く普及し、ターナーなど多くの作家が生まれました。

不透明水彩絵具の一種で、顔料をアラビアガムの水溶液で練ったものです。色彩は鮮明で、乾燥が早く、塗重ねると堅牢なマチエール（作品表面の肌合いや質感）が得られます。18世紀に流行し、その後もピカソ、マチス、ルオー、シャガールらが使用しました。

乾燥した顔料を粉末状にし粘着剤で固めた画材で描かれた絵画です。絵画のほか、デザイン、デッサン等にも用いられます。

一般に、ペン、鉛筆、木炭、パステル、コンテなどが用いられ、輪郭線によって対象の視覚的特徴をつかむことが目的です。主に絵画や彫刻、建築の試作方法として用いられます。

「リト」=石という意味で、版材に石灰石や今日では人造石灰石や亜鉛板、アルミ板も用います。水と油の反発作用を利用した版画技法で、18世紀末にドイツで発明され今世紀に入ってからも、ピカソ、マチス、ルオー、シャガール等、多くの作家がリトグラフによる表現を意欲的に追求しました。

絹のスクリーンを使用してインクを落とす版画技法です。インキが厚く刷られ、明確な色彩表現のできる点が特徴です。芸術作品としてアメリカのラウシェンバーグやウォーホルが、積極的にシルクスクリーン作品を発表しました。

版画としては最も古い歴史を持っており、中国では７世紀、日本では８世紀、また西欧では15世紀初頭まで遡ります。葛飾北斎や棟方志功など日本伝統の木版画は、広く海外でも評価されています。

西洋美術の世界では、もっとも広く用いられた版画技法で、銅板を版材とする版画です。銅板に直接線刻して製版するエングレービング、ドライポイント、メゾチントや酸性溶液を使用するエッチング，アクアチントなど様々な技法があります。

「ジクレー」とは、フランス語で「吹き付けて色を付ける」という意味で、高画質でスキャンしたデジタルデータをキャンバスや版画用紙、写真用紙、和紙などの様々な素材に顔料を吹き付け、自在に表現する事ができます。現代アーティストのための新たな表現技法といえます。

複数の技法を併用して作った作品です。例えばシルクスクリーンで刷った後、アクリル絵具で部分的に彩色するなど、作品の中に各々の素材の質感がもりこまれて、表現の幅が広がります。